DCIS
2023.07.21

DCISとは?症状・検査編【DCIS前編】


動画ナレーション全文

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00:00​ 非浸潤性乳管がん(DCIS)に関するギモン

 この動画では、非浸潤性乳管がん、DCISについて解説します。
 新たに発見される乳がんの20%−25%を占めるという、稀ではないDCISについて、次のようなギモンを通して、見ていきましょう。

  • DCISって何?
  • 普通の乳がんと違うの?
  • DCISを疑う症状や、行われる検査は?

00:39​ DCIS (Ductal Carcinoma In Situ)について

 非浸潤性乳管がんはDCISとも呼ばれます。これは、Ductal Carcinoma In Situの略語です。日本語も英語もややこしい名前ですが、この名前の意味を理解できると、病気がよく理解できます。

01:03 乳房の構造、「乳管」について

 まずは乳房の中を拡大して、構造を見ながら解説します。
 乳房は乳腺を脂肪が囲むように構成されています。乳腺は、「小葉」という乳汁を作る部分と、作った乳汁を運ぶ「乳管」からできています。小葉と乳管は、間質という周りの組織に囲まれています。間質の中には血管やリンパ管などが存在しており、乳腺に栄養を運ぶ役目をしています。

 非浸潤性乳管がんの「乳管」について理解するために、乳管をもっと拡大してみましょう。乳管はホースのような形をしていて乳頭に通じています。その壁は2相の細胞で作られています。この乳管の壁の細胞からできるがんを「乳管がん」と呼びます。ここでは見えやすいように太い乳管を拡大していますが、実際には、小葉に近いもっと細い乳管からがんが発生することが多いです。

02:09 「非浸潤」と「浸潤」の違い

 続いて、「非浸潤性」について解説するために、間質を見ていきましょう。
 間質は乳腺を取り巻く組織で、間質には、血管やリンパ管があります。「浸潤」というのは、がん細胞が乳管の中から間質にでていくことをいいます。浸潤した場合には、がん細胞が血管やリンパ管を通じて、他の臓器やリンパ節に転移を起こす可能性が生じます。浸潤していない場合、つまり非浸潤の状態では、乳管の中には血管やリンパ管がありませんので、理論上は転移の可能性はないと考えられます。なぜ「『理論上』は転移の可能性はない」というかは、後ほどご説明します。

02:55​ DCISの症状

 次に、症状について見ていきましょう。

 DCISは、症状をきたさないことが大半です。マンモグラフィで石灰化などを指摘されて、発見されることが多いです。報告によって差はありますが、DCISのうち、60-90%が、無症状です。ただし、乳管の中にがん細胞が多く増えると、しこりとして触れることもあります。また乳管を通じて乳頭から出血や分泌が見られたりすることもあります。

03:33​ DCISの検査

 DCISを疑われた時に行う検査は、通常の乳房の検査と同じです。 外来では問診、視触診が行われます。
マンモグラフィでは、しこりや石灰化などを確認します。特に、DCISは、石灰化によってみつかることも多いので、重要な検査です。 また乳房超音波検査では、乳房のなかにしこりがあるかどうかなどを判断します。

 また、初診時の検査に追加して画像診断としてMRI検査を行うことがあります。MRI検査は、乳房の中でどれだけ病変が広がっているかを調べる目的で行います。どのような手術を受けたらいいか判断するのに役立つことがあります。

04:27​ DCISの診断、病理検査

 DCISの診断は病理検査で行われます。
乳房に細い針を刺して細胞をとる細胞診や、局所麻酔を行ったうえで、やや太い針を刺して行う組織診(針生検(はりせいけん))などが行われます。

 ここでとても重要なのは、細胞診や針生検では、病変の一部しか検査できないことです。針生検では、病変のメインの部分から組織をとりますが、針でとれた部分とは別の場所で、みえない浸潤部が存在している可能性は否定できません。針生検でDCISと診断された方のうち25%に、手術の後で浸潤部が見つかるという報告もあります。そのため、浸潤部がどこかに存在している可能性も考慮した上で、治療が開始されます。

05:27​ 今回のポイント

非浸潤性乳管がん(DCIS)のポイントです。

  • 非浸潤性乳管がん(DCIS)は、乳管の中にとどまっている、間質への浸潤がない乳がんのことです。乳管の細胞から発生します。
  • 症状はないことが大半です。しこりを触れたり、乳頭分泌、乳頭からの出血が見られることもあります。

DCISの治療については、「DCIS: 後編」をご覧ください。

以上、BC Tubeでした。

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