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2023.06.19

高濃度乳房(デンスブレスト)って、何?


動画ナレーション全文

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 00:00ギモン

 この動画ではこんなギモンにお答えします。

  • 高濃度乳房(デンスブレスト)って言われた。
  • デンスブレストって病気?なにが問題なの?
  • デンスブレストだとマンモグラフィを受けない方がいいの?

00:21マンモグラフィの例1

 まず、一緒にマンモグラフィを見てみましょう。このマンモグラフィの中で、病変がどこにあるか、わかりますか?ポイントは、良性、悪性どんなしこりも、基本的に白く映ります。他のところよりも白い部分を探してみてください。この白く映っている部分が病変です。

00:46 マンモグラフィの例2

 もう一つマンモグラフィを見てみましょう。この中でもしこりは白く映っています。周りに比べて、白く、見えます。右のマンモグラフィは、全体に白いですが、全部が病変なわけではありません。正常な乳腺が全体に真っ白く映るタイプの乳腺です。

 では、右のマンモグラフィの中に、同じ病変があった場合はどうでしょうか?重ねてみましょう。白い乳腺の中に白いしこりがあっても、みつけるのが、左の乳房よりも難しそうです。この右の乳房のように正常乳腺が真っ白く映る状態を高濃度乳房=デンスブレストといいます。今回は、この高濃度乳房について、詳しく解説していきます。

01:41 病気ではない高濃度乳房

 乳腺の濃度は4つの段階に分けられます。このうち、濃度の高い2つを高濃度乳房(デンスブレスト)といいます。
日本人では、約40%と、比較的多くの方が高濃度乳房の範囲に含まれます。デンスブレストは乳房の状態を示すことばであり、病気ではありません。

02:06 乳房=乳腺と脂肪

乳房とは、脂肪と乳腺からできています。マンモグラフィにも、脂肪と乳房が重なって見えています。脂肪は比較的黒く映り、乳腺は白くうつります。

02:22  乳房の年代による変化、個人差

 乳房の構成は個人差があります。また同じ人の乳房でも、年を経たり、妊娠授乳期など、時期によって、乳房の構成が変化します。若い年代の方は、高濃度乳房、つまり乳腺の割合が、脂肪よりも多く、全体に白く見える場合が多いです。やや年代を経ると、乳腺の密度が減って、脂肪に置き換わってきます。そうすると、マンモグラフィが全体に少し黒っぽく見えます。乳腺の割合が多い画像よりも、所見がわかりやすくなってきます。年齢を経て、閉経を迎えた後は、乳腺が退縮し、さらに脂肪に置き換わります。高齢の方ほど、または脂肪の割合が多いほど、乳がんやその他の所見を発見しやすいのです。

03:19 高濃度乳房の問題点

 デンスブレストでは何が問題なのでしょうか?

 皆さんも一緒に画像を見て、お分かり頂いたと思いますが、乳がんをみつけにくい傾向があります。マンモグラフィだけで全く問題なしとどうしても言いにくくなるため、検診でひっかかりやすい傾向もあります。乳がんになるリスクが高くなる、という可能性も指摘されています。これについては欧米では確実とされていますが、日本人においては根拠に乏しく確実とは言えません。

03:55高濃度乳房でもマンモグラフィは受けた方がいい

 デンスブレストの人はマンモグラフィを受けない方がよいのでしょうか?

 この画像は、一人の女性のマンモグラフィです。2年前は何もありませんが、現在のマンモグラフィで2年前との違いを指摘されました。過去の自分のマンモグラフィと比べながら観察することで、濃度の高い乳房の中にも、所見を指摘できることがあります。年代を経る毎に所見が見やすくなっていくこともあります。エコーや視触診と比べて、マンモグラフィで見つけやすい所見があることも、定期的にマンモグラフィを受ける方が良いといえる理由です。検診マンモグラフィの利点は、乳がんの死亡率を減らすことができることです。

04:45 高濃度乳房と言われたらどうする?

 高濃度乳房と言われたらどうすれば良いのでしょうか?高濃度乳房に対して、どのように対応していくのが良いのか、はっきりした結論はまだでていません。
 この問題を解決するために様々な研究がされています。今、私たちにできる、大切なことは、検診マンモグラフィを、定期的に受けることです。乳房セルフチェックを行って、普段の自分の乳房を知り、変化に気づきやすいようにしましょう。乳房の変化に気づいたら、早めに乳腺科のあるクリニックや病院を受診しましょう。自分の乳房の状態に日頃から関心をもち、乳房を意識して生活することを「ブレスト・アウェアネス」といいます。大切な生活習慣である、ブレスト・アウェアネスを日頃から心がけましょう。

05:41 メッセージ

今回のメッセージです。

  • 高濃度乳房(デンスブレスト)は、乳腺の割合が高い状態のことであり、病気ではありません。
  • デンスブレストでは乳がんを見つけにくい傾向や、精密検査を勧められる割合が高い傾向があります。マンモグラフィで所見が見えづらいとは言っても、過去のマンモグラフィ画像と比べて、新しい病変をみつけられることもあります。デンスブレストでもみつけやすい所見もあります。
  • 検診マンモグラフィは定期的に受けましょう。乳房セルフチェックも心がけましょう。

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