【NEWS】乳がん術後治療の新たな選択肢〜S-1適応拡大〜【乳がん大事典】
動画ナレーション全文
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目次
00:00 はじめに
乳がんの最新情報をお届けするBC Tube NEWS
今回の話題は「乳がん術後治療の新たな選択肢〜S-1適応拡大〜」です。
00:21 関係のあるサブタイプ
今回の話題が関係のあるサブタイプは、ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がんです。ホルモン受容体陽性であっても、HER2も陽性の場合は対象にはなりません。
サブタイプについては詳しく解説した動画がありますので、こちらもご参照ください。
00:53 適応拡大の内容
2022年11月にPOTENT試験という臨床研究の結果をもとに、内服の抗がん剤であるS-1の適応が拡大されました。商品名はティーエスワンです。これまでS-1は手術不能または再発乳がんに使われていました。今回の適応拡大によって、これに「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後療法」が新たに追加されました。
01:45 具体的な適応
では実際どのような人が対象となるのかをみてみましょう。具体的には、今回の適応拡大のもとになったPOTENT試験の対象を参考にします。主な項目としては、まず、乳がん術後でStageⅠ〜StageⅢBであること。ホルモン受容体が陽性かつHER2が陰性であることそして、リンパ節転移ありか、リンパ節転移がない場合は、再発リスクが中間リスク以上であることです。これらを満たす場合に、S-1の適応を積極的に検討することになります。POTENT試験での中間リスクや高リスクの条件はとても複雑ですので主治医にご確認ください。
02:50 治療の流れ
ここで、これまでの「ホルモン受容体陽性HER2陰性の再発高リスク乳がん」に対する標準治療を確認してみましょう。手術に加え、術前もしくは術後化学療法、そこへ適宜放射線治療を行います。そして、そのあとにホルモン療法を5年から10年行い、必要に応じてアベマシクリブ、オラパリブの内服を併用するのが標準治療でした。術後のアベマシクリブ、オラパリブについては、こちらの動画も参照ください。
今回の適応拡大によって、ホルモン療法と同時にS-1をはじめの1年間内服することが標準治療の一つとして位置付けられました。再発率が高いと予想される場合に、今までよりも、さらに再発率を抑えるための選択肢が増えたというのが今回のS-1の適応拡大です。
04:20 効果
S-1を併用した場合の効果としては、POTENT試験において、従来の治療に比べて、術後ホルモン療法にS-1を併用することで乳がんの再発や新たながんのリスクを約37%改善しました。
04:49 用法・容量
用法・用量は、ホルモン療法と併用で、S-1を1回 40~60mg、1日2回、14日間内服→7日間休薬を1年間繰り返します。
05:10 主な副作用
主な副作用はこのようなものがあります。頻度は症状が軽いものから重いものまで全て含んだ割合です。
05:23 さいごに
実際の適応については、ここで紹介した条件に加えて、個々の状況に応じて判断されます。最終的には、担当医と相談して治療を決めましょう。