乳頭から出血・分泌があったとき、どうする?
動画ナレーション全文
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目次
00:00 今回のメッセージ
今回のメッセージは
- 乳頭分泌のほとんどは良性であること
- 分泌の性状をみただけでは、良性と悪性の判断はとても難しいこと
- また、分泌が続く場合は、医療機関を受診すること
の3点です。
00:32 乳頭分泌の違い(色、乳管数)
一言に、乳頭分泌といっても、様々な種類があります。まず分泌の色に注目してみましょう。乳汁と同じ、白い分泌もあれば、透明に近い分泌、出血のような赤色や、茶色、黒に近い色の分泌もあります。では、なぜ、乳頭分泌が起こるのでしょうか。これを知るために、乳腺の構造を見てみましょう。
乳腺は、乳汁を作る工場である小葉と、作られた乳汁を乳頭に運ぶ乳管からできています。乳頭には、この乳管が約20本通じています。さまざまな原因で、乳管の中に生じた分泌物が、乳管を通って乳頭から出てくることを、乳頭分泌と呼びます。
先程お話したとおり、乳頭には約20本もの乳管が通じています。そのうちいくつの乳管から分泌があるかによっても区別されます。一つの乳管から分泌がある場合、つまり乳頭の一点からの分泌を単孔性の分泌と呼びます。
また、複数の乳管から分泌がある場合を、多孔性の分泌と呼びます。これらは、自分でよく観察することで、区別できることもあります。
乳頭分泌が、妊娠期、授乳期以外にみられることを異常乳頭分泌と呼びますが、この原因はいくつもあります。
代表的なものは、良性の乳管内乳頭腫と、乳がんです。
02:37 乳管内乳頭腫
乳管内乳頭腫は、乳管の中にできる良性のしこりです。血のような分泌や茶色、黒などの分泌が多く、また単孔性、つまり乳頭の一点から分泌がみられることが多いです。良性のしこりですが、悪性との区別が非常に難しい場合もあり、診断のための手術を行う場合もあります。これを切開生検と呼びます。
03:11 乳がん
また、乳がんの一つの症状として分泌がみられる場合があります。超早期の乳がん、DCISや、一般的な乳がんなど、色々な種類の乳がんの時に分泌は起こる可能性があります。出血に近い性状の場合が多く、単孔性、乳頭の一点からの分泌のことが多いです。また、分泌だけでなく、よく確認すると、しこりを触れたり、他の症状がある場合もあります。
では、乳頭分泌があった場合、一体どのくらいの乳がんのリスクがあるのでしょうか。実は、それほど乳がんの頻度は高くありません。乳頭分泌の大半は良性の原因によるもので、乳がんのリスクは5%から20%程度とされています。つまり、分泌があったからといって、すぐに焦る必要はありません。まずは冷静に、他の症状がないか、チェックしてみましょう。
03:48 乳頭分泌、乳がんは多くない
一方で、良性の代表である、乳管内乳頭腫と、乳がんにおいてみられる分泌は、特徴が非常に似通っています。
どのような分泌だから、乳がんではないと、自己判断することは難しいです。良性か、悪性かを診断するために、医療機関を受診して、検査を受けられることをお勧めします。
04:54 高プロラクチン血症
もう一つ、乳腺とは関係ない原因で乳頭分泌が起こる場合があります。乳汁は、プロラクチンというホルモンの刺激をうけて、乳腺で作られます。プロラクチンは下垂体という脳の一部から産生されます。プロラクチンが異常に高い状態を引き起こすいくつかの病気によって、乳汁の産生、つまり白い分泌がみられます。これは、妊娠授乳期以外の女性や、また男性にも起こりうる疾患です。原因はさまざまです。他の病気に対して使用している薬の影響によることや、下垂体の腫瘍による場合などがあります。原因に対する治療が必要な場合があるため、内分泌内科を受診しましょう。
05:50 乳頭から出血・分泌があったらどうする?
乳頭から出血や分泌があったら、まずは慌てないことが大事です。大半は良性です。乳房のセルフチェックを行い、いつもと違うところがないか、しこりがないか、確認してみましょう。やり方がわからない場合は、BC Tube「 乳房セルフチェック」動画をご覧ください。また、いつもとの違いに気づくために、普段から乳房セルフチェックを行い、自分の乳房の普段の状態を知っておくことは、とても大切です。これをブレストアウェアネスといいます。
乳房セルフチェック以外の時に、むやみに絞って分泌を確認するのはやめましょう。乳房を圧迫したり、乳頭を絞ったりしなくても、自然に分泌があったり、ブラジャーに、分泌がついていたりすることがあるかどうか、確認してみましょう。出血や分泌が続く場合には、良性か、悪性かの診断をつけるために、乳腺科のある医療機関を受診しましょう。
07:03 おさらい
ポイントです。
- 乳頭分泌のほとんどは良性です。
- 分泌の性状をみただけでは、良性と悪性のはんだんはとても難しいです。
- 乳頭を絞らなくても分泌が自然に出る状態が続いている場合は、医療機関を受診しましょう。