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2023.08.01

【NEWS】術後ホルモン療法の新たな選択肢 〜アベマシクリブ適応拡大〜 


動画ナレーション全文

サブタイトル冒頭の「00:00(数字の部分)」をクリックすると、本動画のその時間からご覧になれます。

00:00 はじめに

 乳がんの最新情報をお届けするBC Tube NEWS

 今回の話題は、新しく適応が拡大されたお薬アベマシクリブです。今回の話題が関係あるのは、ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がんの患者さんです。ホルモン受容体陽性であっても、HER2も陽性の患者さんは対象にはなりません。ホルモン受容体やHER2については、詳しく解説した動画がありますので、こちらもご参照ください

00:34 今回、新たに変わったことは?

 2021年12月にmonarchE試験という臨床研究の結果をもとに、CDK4/6阻害薬であるアベマシクリブの日本での適応が拡大されました。商品名はベージニオです。

 これまで、アベマシクリブはホルモン受容体陽性・HER2陰性の手術不能または再発乳がんに使われていました。今回の適応拡大によって、これに「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後療法」が新たに追加されました。

 この適応拡大によって、再発率が高いと予想される場合に、今までよりも、さらに再発率を抑えるための選択肢が増えました。

01:20 アベマシクリブとは?

 アベマシクリブは、CDK4/6阻害薬の一種です。がん細胞の細胞分裂周期にブレーキをかける薬剤で、ホルモン療法とあわせて使われます。

01:33 具体的な適応は?

 では実際どのような人が対象となるのかをみてみましょう。具体的には、今回の適応拡大のもとになったMonarchE試験の対象を参考にします。

 ひとつめは、乳がん術後であること、ふたつめは、ホルモン受容体が陽性であり、かつHER2が陰性であること、最後が再発高リスクに関連する項目です。

 リンパ節転移の数によって条件が異なります。「リンパ節転移4個以上」であるか、「リンパ節転移1-3個 の場合は 腫瘍径5cm以上 または グレードが3」となっています。これらをすべて満たす場合に、アベマシクリブの適応を積極的に検討することになります。

02:16 この場合の従来の標準治療は?

 ここで、これまでの「ホルモン受容体陽性HER2陰性の再発高リスク乳がん」に対する標準治療を確認してみましょう。

 手術に加え、術前もしくは術後化学療法、そこへ適宜放射線治療を行います。そして、そのあとにホルモン療法を5年から10年行うのが標準治療でした。

 今回の適応拡大によって、ホルモン療法と同時にアベマシクリブをはじめの2年間内服することが標準治療の一つとして位置付けられました。再発率が高いと予想される場合に、今までよりも、さらに再発率を抑えるための選択肢が増えたというのが今回のアベマシクリブの適応拡大です。今回もとになった研究では、術後3年の時点で、およそ30%再発を減らしました。

03:05 用法用量、主な副作用

 アベマシクリブは、アロマターゼ阻害薬やタモキシフェンと一緒に、1回1錠 1日2回を毎日内服します。副作用によって適宜減量や休薬をします。

 主な副作用には、下痢、はき気、疲労、好中球減少、間質性肺炎などがあります。この中でも、下痢はもっとも頻度が多くみられました。

03:30 さいごに

 実際の適応については、ここで紹介した条件に加えて、個々の状況に応じて判断されます。最終的には、担当医と相談して治療を決めましょう。

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