乳がん検診について
乳腺科での検査について
検診を受ける前
2023.06.22

乳がん検診は、マンモグラフィ?超音波も? 〜40歳から始める乳がん検診〜


動画ナレーション全文

サブタイトル冒頭の「00:00(数字の部分)」をクリックすると、本動画のその時間からご覧になれます。

00:00はじめに

乳がん検診って、マンモグラフィや超音波といろいろあるみたいで、結局何を受けたら良いのでしょうか?

つぶちゃん

まず、基本はマンモグラフィを考えましょう。
あとはそこに超音波などを加えるかどうかを考えるといいのですがこれにはメリットとデメリットがあり、まだ一概にどちらが良いかは断言しにくいのです。
 ここからはどのように考えたらよいか判断の助けになりそうな話をしていきましょう。

BC先生

00:34乳がん検診の目的

 乳がん検診の目的は乳がんで亡くなる人を減らすことです。そして私たちがマンモグラフィを第一に重視しているのには理由があります。それはマンモグラフィが今のところ唯一乳がんで亡くなる人を減らすことがわかっている方法だからです。

 実際、国や自治体が主体になって行っている対策型検診でも40歳以上で2年に1度のマンモグラフィです。例えば、追加で超音波を受けたり、毎年のマンモグラフィだったり、そのほかの方法はこの2年に1度のマンモグラフィよりメリットやデメリットも含めて優れているかどうかは分かっていないのです。このわかっていないというところがとても大切です。

01:15乳がんで亡くなる方を減らせることがわかっている検診方法​

 マンモグラフィは検診の大きな目的であるがんで亡くなる人を減らす効果が既に分かっています。その点で対象となる人全員に基本的にお勧めということになります。

 実際超音波をはじめとしたこちら側の検査はまだいつ誰に行うのが良いかのデータが十分ではありません。そのため検査のメリットデメリットまだわかっていないこともあるという点を含めて一人ひとりの検診や健康に対する価値観に沿って選ぶことになります。

 2年に1度のマンモグラフィ以外の方法は任意型検診として検診施設やクリニックなどで受けることができます。また職場の福利厚生として行われる場合もあります。

 データが不足しているとはいえこの中でもマンモグラフィ超音波を追加することに関してはマンモグラフィ単独の検診の次に研究が進んでいます。これにもメリットとデメリットについてわかっていることわかっていないことがありますこのことをしていただいてご自身が納得できる方法を選んでもらうといいと思います。

02:14超音波をマンモグラフィ検診を追加したらどうなるか

 それではここからは対策型検診として超音波をマンモグラフィに追加するとどうなるかという話をしていきます。40歳代の日本人女性を対象におこなわれた大きな研究をもとにマンモグラフィに超音波を追加するとどうなるのかを噛み砕いて説明していきます。

 この研究はおよそ7万6千人を対象とした非常に大きな研究でありましたが、分かりやすいように今回は1000人あたりの検診結果に置き換えてみましょう。
 ここにマンモグラフィだけの乳がん検診を受けた1000人とマンモグラフィと超音波を受けた1000人がいたとします。マンモグラフィだけの検診を受けると1000人のうち8.8%およそ88人が要精密検査となりました。その後細胞診や針生検をはじめとしたさらなる精密検査を受けることになります。この精密検査を受けた88人のうち最終的に3.3人が乳がんの診断に至りました。

 一方でマンモグラフィと超音波の両者の検診を受けた人はどうでしょうか。こちらは1000人のうち12.6パーセントの126人が要精密検査となり、その最終的に5人が乳がんの診断となりました。超音波を追加で受けると約1.5倍多く乳がんを見つけることができましたこれは超音波をおこなうメリットといえそうです。
 しかし、一方で要精密検査となり、さらに詳しい検査を必要とした人数も約1.5倍となっています。すなわちマンモグラフィ検診を受けて要精査となった人のうち結果的に乳がんではなかったけれども追加の検査が必要だった人が85人ました。超音波も一緒に向けて要精査となった人のうちそのような人は121人いたと言い換えることもできます。
このように検診でひっかかったなければ受ける必要がなかった追加検査を実際に受けることになってしまった人が増えてしまいました。

 これは超音波を追加して検診を行うってメリットと言えます。この研究は超音波を検診で追加する意義をしっかりと調べた唯一の研究ですが、それでもまだ実際に乳がんで亡くなる人を減らせるかどうかまでは分かっていません。

04:25マンモグラフィ検診と、マンモグラフィ+超音波検診

 ここでマンモグラフィと超音波についてまとめます。マンモグラフィは乳がんで亡くなる人を減らす効果が既に示されています。マンモグラフィ+超音波は40歳代女性が受けると乳がんの発見率は約1.5倍となりますが要精密検査率も1.5倍です。

 また乳がんで亡くなる人をさらに減らせるかまではわかっていません。

 メリットも増える一方でデメリットも増えます。そのためこの話を聞いてどう捉えるかどう感じるかはどうしても個人の価値観によるところがあります。こういったことからマンモグラフィとマンモグラフィ+超音波どちらが良いのかというのは現状簡単に結論付けることができないのです。

 そして少し細かいですが、今回のご紹介した研究の対象となったのは40歳代女性の方です。それ以外の方にどこまでこの結果が当てはまるかは厳密にはよくわかっていないということにも注意が必要です。

05:18 超音波だけの検診は?

 よくある質問で超音波だけで検証行った場合はどうでしょうかと聞かれることがありますが、実はこれについてはデータがあまりありません。

 検診においてはマンモグラフィと超音波のどちらが良いかという議論ではなくて、マンモグラフィ対マンモグラフィ+超音波と考えてもらった方が良いのです。

 そしてこれらのメリットとデメリットをした上で自分の考えに合う方法を選んで下さい。

 マンモグラフィや超音波以外の検査については任意型検診では選ぶこともできますが、今回ご紹介した超音波以上に本当に追加した方が良いかどうかまでは分かっていない方法にはなってしまいます。

05:55 特殊な状況

 今日は一般的なお話しをしていますが、遺伝性乳がんのような特殊な状況においては代表的なマンモグラフィや超音波だけではなく、別の方法が勧められる場合もあります。

どういう人が超音波も受けた方が良いかというのはわかっているのですか?

つぶちゃん

残念ながら明確にはわかっていないのです。
若い方やデンスブレストといわれる乳腺の濃度が高い方は、もしかすると超音波なども良いかもしれないと期待はされていますがまだ結論が出ていません。
個別化検診といって人それぞれにあった検診方法を模索する動きもありますが、まだまだわかっていないことも多くこれからの重要な課題です。

BC先生

06:37まとめ

乳がん検診は、まず2年に1度のマンモグラフィを基本に考えます。

 そして、マンモグラフィ超音波を追加すると乳がんの発見率は約1.5倍、要精査率も約1.5倍となります。

 乳がん死亡率への影響はまだ不明です。これを聞いてどう感じるかは人それぞれ違うと思います。

 これらを踏まえて自分が納得できる方法でぜひ検診を受けて下さい。

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