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2023.06.23

乳がんって、どうやって分かるの?【乳がんダイジェスト前編】


動画ナレーション全文

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00:00 乳がんダイジェスト前編

今回は乳がんダイジェストという事で乳がんの診断・初期治療について大まかな流れをご説明します。前編では受診から乳がんの診断までの流れを見ていきます。

00:18 乳がんの頻度

 乳がんは日本人女性のかかるがんで最も多く、女性の9人に1人が生涯の間に乳がんにかかります。とても身近な病気である、と言えるでしょう。また、男性も乳がんにかかることがあり、乳がん全体の100人に1人が男性です。乳がんは自分で見つけられるかもしれない数少ないがんの一つです。がんの診断を受ける患者さんの6割が何らかの症状を自覚しています。ただし症状があるからといって、がんであることはそれほど多くはありません。乳房の痛みのうち、乳がんであるのは1%未満、しこりであればおよそ10%、乳頭分泌であれば5-20%が乳がんの診断となるという報告があります。乳房セルフチェックで乳房の変化に気づいた場合、受診してしっかりと診断を受けることが大事なのです。

01:35 受診後の検査

 さて今日はBC Tubeのキャラクター、つぶちゃんが乳房セルフチェックでしこりを見つけました。これから病院を受診します。今から診療の流れを一緒に見ていきましょう。

 乳がんの診断はどのように行うのでしょうか?病院に初めてかかった時に主に行うのが、問診・視触診、マンモグラフィ、乳房超音波検査の3つです。問診では受診した理由、乳房の症状、血縁者に乳がんの方がおられないか等についてお尋ねします。視触診では、乳房を観察し、直接手で触って乳房やリンパ節の状態を検査をします。マンモグラフィは、乳房の圧迫X線撮影のことです。マンモグラフィでは、しこりや石灰化などが確認できます。乳房超音波検査は乳房にゼリーを塗って超音波を当て、乳房のなかにしこりがあるかどうかの診断に使います。

02:26 病理検査

 画像診断で良性か悪性か判断するのは正直難しいです。そこでどうするかというと、乳房に細い針を刺して細胞をとる細胞診や、局所麻酔を行ったうえで、やや太い針を刺して行う組織診(針生検(はりせいけん))などが必要になります。最終的には乳がんの診断はとった組織を病理の先生に顕微鏡で診てもらう組織診で行う事が多いです

03:00 つぶちゃん、乳がんと診断される

BC先生:先日の組織検査で乳がんだという事が分かりました。
つぶちゃん:え?いつから治療が始まるの?
つぶちゃん:早く治療しないで大丈夫?
BC先生:心配されるお気持ちはよくわかります。ただ乳房の中に乳がんができ始めて画像検査でわかるようになるまでには、何年という月日がかかっていると言われています。実際に治療が始まるまでにしばらくかかることはありますが、通常その間に進行するというのは考えにくく、まずは慌てないことが大事です。がんの性格や広がりを正しく評価し、最も適した治療を落ち着いて選択することが大切です。

03:41 乳がんと診断、ひとりで悩まないで

 つぶちゃんは病院からの帰り道、乳がんのこと以外にもいろいろなことが心配になってきました。お仕事のこと、出産のこと、治療にかかるお金のこと、普段の生活のこと・・・考え始めたらきりがありません。

 乳がんと診断されたからといって一人で悩まず、まずは相談してください。お仕事の内容にもよりますが、社会福祉士・社会労務士に相談しながら、どのようにお仕事を続けたらいいかが相談できます。お子様を将来望まれている方、もしくは妊娠中の方もいらっしゃるかと思います。出産をすぐにあきらめないでください。産科との連携により妊孕性「妊娠するための力」温存について相談することが可能です。がんの治療にはお金もかかります。経済的な問題に対しては、社会的な補助を受けることが可能です。あなたの周りにサポートする人は沢山います。ひとりで悩まず、是非相談してください。解決策を一緒に考えましょう。

 それではその他の検査を見ていきましょう。初診時の検査に追加して画像診断としてMRI検査を行うことがあります。MRI検査は、乳がんであると判明した場合に、どれだけ乳房の中で病変が広がっているかを調べる目的で行い、
どのような手術を受けたらいいか選択するのに役立つことがあります。また調べている病変の診断が難しい場合などには、乳がんかそうでないかを判断するために行うことがあります。

 乳がんの診断がつき、必要に応じてですけれども、検査を追加する場合があります。CT、PET-CTでは全身的な乳がんの広がりを調べます。骨シンチグラフィーでは骨への転移がないか調べます。

05:47乳がんの病期 (ステージ)

 色々な検査によって病期(ステージ)が決まってきます。ステージというのはしこりの大きさ・リンパ節転移・他の臓器への転移により判断されています。これらの情報は、治療を進めながらわかってくる場合もあります。しこりが小さくリンパ節に転移していない状態がステージⅠ期です。徐々にしこりが大きくなったり、リンパ節転移、他の臓器に転移、広がっていくことによりステージが上がります。最適な治療を受けていただくには、今自分がどの段階にいるのかきちんと診断を受けることが大事です。さて診断がついたところで、乳がんの治療にはどのような治療があるのか見ていきましょう。

 06:35 初期治療について

 乳がんと診断され、最初に受ける治療を「初期治療」と呼びます。「初期治療」というのは、他の臓器への転移がない患者さんの治療として、乳がんを完全に治すこと(治癒)を目指すものです。初期治療には、お薬の治療である全身治療と手術、放射線療法といった腫瘍のある場所に対する局所治療の二つに大きく分けられます。お薬の治療の中には化学療法(抗がん剤治療)、ホルモン療法(内分泌療法)、分子標的治療などがあります。このように、がん治療というのは局所治療と全身治療を組み合わせながら、色々な部門のスタッフが協力して治療を行います。

07:25 標準治療について

 さて、最も優れたがん治療とは何でしょうか?

 がん治療は大きく分けて国から認可を受けた標準治療と未承認治療があります。「標準」という言葉の印象から、「特上・上・並」とあるランクのうちの「並」ではないかとイメージする人もいるようです。標準治療は、「並ランクの治療」ではなくて、「現時点で、患者さんに最も効果が期待でき、患者さんの利益が最も大きいであろう、安全性が確認できた、最善の治療」という意味です。つまり、最も優れた治療というのは標準治療ということです。
 なお、医療において、未承認治療である先進医療・治験といった「最先端の治療」が最も優れているとは限りません。最先端の治療は、開発中のお試しの治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価されていて、それまでの標準治療よりさらに優れていることが証明されれば、その治療が新たな「標準治療」に加えられます。

 今回は受診から乳がんの診断までの流れを勉強しました。後編では初期治療についてお話しします。

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